親の認知症で実家が売れない?「家族信託」で空き家を管理・売却する方法

親の認知症で実家が売れない?「家族信託」で空き家を管理・売却する方法

将来住む予定のない実家をどうすればいいかわからない、親が元気なうちに空き家対策をしておきたい、といったお悩みはありませんか。
何も対策をしないまま所有者が認知症になってしまうと、管理や売却ができなくなる可能性があります。
本記事では、そのような事態を防ぐ有効な手段である「家族信託」を活用し、空き家を円滑に管理・承継する方法について解説いたします。
大切な資産をトラブルなく次の世代へ引き継ぎたいと考えている方は、ご参考になさってくださいね。

空き家が急増している原因と背景

空き家が急増している原因と背景

家族信託を利用するには、なぜ今空き家が増え続けているのか、その背景を知ることから始める必要があります。
まずは、空き家が適切に管理されない主な原因や、高齢化社会に伴う影響について解説していきます。

空き家増加の現状と統計

総務省が実施した住宅・土地統計調査によると、現在、日本の空き家数は全国で約900万戸に達しており、総住宅数の13.8%を占めています。
これは、およそ7軒に1軒が空き家という計算になり、約448万戸だった1993年頃と比較すると、2023年までの30年で2倍近くまで増加しました。
空き家には賃貸用や売却用などの種類がありますが、近年ではとくに、適切な管理が必要なその他の住宅が増加傾向にあります。
この「その他の住宅」は約385万戸にのぼるといわれており、建物の資産価値を維持するためにも、早めの整理を意識することが大切です。

相続遅延などの発生要因

空き家が発生する主な要因として、親世代から子世代へ相続されるタイミングで、ご実家が空室の状態になるケースが多く挙げられます。
相続人となるお子さま世代は、すでに都市部で持ち家を所有されている場合が多く、お仕事の事情などで実家に戻ることが難しい場面は少なくありません。
また、思い出の詰まったご実家をすぐに活用するのは心情的にも難しく、遺品の整理などに時間を要することで、空き家期間が長期化しやすくなります。
これまでは、相続登記が義務ではありませんでしたが、2024年からは登記が義務化されたため、名義を整えつつ将来と向き合う環境が整っています。

親の認知症と「売れない実家」

考慮すべき点として、所有者が高齢になり認知症を発症された場合、空き家の管理や活用の方針を決定することが難しくなる可能性があります。
空き家問題の最大のボトルネックは、所有者の判断能力低下です。
なぜなら、不動産を売却したり、リフォーム契約を結んだりするには、所有者本人の意思確認が必須だからです。
もし親が重度の認知症になり判断能力を失うと、法的に契約行為ができなくなり、実家は事実上の「資産凍結」状態に陥ります。
こうなると、成年後見人をつけない限り、売ることも貸すこともできなくなってしまうのです。

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空き家管理に役立つ「家族信託」の制度の仕組み

空き家管理に役立つ「家族信託」の制度の仕組み

前章では、空き家が発生する際の備えについて述べましたが、「家族信託」という仕組みが対策として有効な手段となります。
ここでは、空き家対策における家族信託の概要や、手続きの流れについて解説していきます。

3つの役割と基本構造

家族信託とは、財産の管理方法をあらかじめ家族間で取り決め、信頼できるご家族に託しながら利益を受け取る方を柔軟に指定できる仕組みです。
この制度では、財産を託す「委託者」と、名義を引き継ぎ管理をおこなう「受託者」、そして利益を受け取る「受益者」の3つの役割を整理することが重要です。
たとえば、空き家の所有者である親が委託者兼受益者となり、お子さまを受託者とすれば、名義を移しつつ家賃収入を親が受け取れます。
このように、「管理する権限(受託者)」と「利益を得る権利(受益者)」を分けることで、親が認知症になっても、元気な子が受託者としてスムーズに実家を売却できるようになります。

契約と信託登記の流れ

空き家を家族信託するなら、まずは「将来その家をどうしたいか」をご家族でゆっくり話し合うことから始めましょう。
誰が管理を担当し、誰に引き継いでいくのか、みんなが納得できる形を整理していきます。
方向性が決まったら、管理のルールをまとめた契約書を作成し、不動産の名義を管理者に移す「信託登記」という手続きをおこないます。
この名義変更はあくまで管理するためであり、登記簿にも「信託された財産であること」が記録される仕組みです。
手続きが終われば、管理者が自分の名前で、税金の支払いや業者への依頼をスムーズにおこなえるようになります。

契約時の実務ポイント

家族信託の契約内容を決める際には、将来の変化も踏まえて信託期間や目的を検討し、無理のない柔軟な設計にすることが求められます。
たとえば、親のご存命中は親を受益者とし、亡くなられた後にお子さまを次の受益者とするよう定めておけば、一連の流れを整理することができます。
あわせて、空き家を売却する場合の方針や賃貸物件に出す際の管理方法、さらには税金の負担者についても事前に決めておくと安心です。
これらを契約内で明確にしておくことで、受託者となる方は迷わずに判断できるようになり、ご家族全体の利益を守ることにつながります。

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家族信託で空き家対策をおこなう3つのメリット

家族信託で空き家対策をおこなう3つのメリット

ここまで、家族信託の仕組みや手続きの流れを解説してきましたが、どのような効果があるのかについてもおさえておきましょう。
最後に、家族信託を活用して空き家対策をおこなうことで得られる、主な3つのメリットについて解説をしていきます。

贈与税負担と課税関係

まず、生前贈与と比較した場合の税制面の違いを理解しておくと、家族信託のメリットがより明確に感じられるようになります。
一般的に、親から子へ不動産を贈与すると贈与税の対象となりますが、委託者と受益者を同じ方とする設計であれば、開始時点では課税されません。
その後、将来の適切なタイミングでお子さまを受益者とすることで、その時点の財産評価額に応じた課税関係をスムーズに整理することが可能となります。
税金の取り扱いは個々の事情によって異なりますが、家族信託を取り入れることで、相続税などの発生時期をあらかじめ見通しやすくなります。

迅速で柔軟な処分判断

家族信託を活用することで、空き家の処分に関する判断を迅速かつ、柔軟におこなえるようになる点もメリットです。
一般的に、相続が発生した後に相続人全員で不動産の扱いを決める場合、意見の調整に時間がかかり、売却のタイミングを逃すことが考えられます。
一方で家族信託であれば、あらかじめ受託者に売却や賃貸活用の権限を与えておけるため、市場の動きを見ながら最適な時期に手続きを進められます。
老朽化が進む前に売却を検討したり、リフォームを施して賃貸運営をおこなったりするなど、状況に合わせた柔軟な活用方法を選びやすくなるのです。

確実な承継と争族防止

家族信託は将来の承継先を明確に定められるため、安心して財産を引き継げることや、ご家族間のトラブルを未然に防げる点がメリットです。
信託契約では、現在だけでなく将来の受益者やその次の世代まで、受益権を連続して指定できる独自の仕組みが備わっています。
これにより、空き家を活用して得た資金を、どの順番でどなたが受け取るかをあらかじめ示せるため、資産配分をご家族で共有しやすくなります。
受益権の帰属を具体的に決めておくことで、将来の相続発生時における話し合いも円満に進み、良好な家族関係を維持し続けることが可能です。
契約内容を丁寧に整えておくことは、次世代まで安心して管理を任せられる対策となり、ご家族にとって心強い選択肢となるでしょう。

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まとめ

現在の空き家数は約900万戸と急増しており、相続手続きの遅れや所有者の認知症による資産凍結リスクが、大きな課題となっています。
家族信託は、信頼できる家族に管理を任せつつ利益を受け取る仕組みで、将来の認知症対策やスムーズな承継を実現するための有効な契約です。
贈与税などの課税関係を整理しつつ柔軟な売却判断が可能になり、次世代への円満な資産承継を実現する心強い選択肢となるでしょう。

奈良市不動産買取センター

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